日本夜行鉄道

日本の鉄道に、再び夜行列車の浪漫を(フィクションです)

基本構想(1)列車設定の基礎

どの区間に設定するか

 

日本夜行鉄道として、どの区間に列車を設定するかは基本の問題です。

 

かつて国内には、

 

東京駅-中四国、九州(宇部出雲市、博多、大分、長崎・佐世保、宮崎、鹿児島)

大阪駅-九州(博多、大分、長崎・佐世保、宮崎、鹿児島)

上野駅-東北・北海道、北陸(秋田、青森、札幌、金沢)

大阪駅-東北・北海道、北陸(秋田、青森、札幌、新潟)

 

を中心に、数多くの夜行寝台特急が駆け抜け、さらに銀河(東京-大阪)、能登(上野-金沢)などの夜行急行も走っていました。

 

しかし、現在定期運行されている寝台特急は、サンライズ瀬戸・出雲(東京-高松(琴平)・出雲市)のみとなりました。

 

JMRとして列車を運行させるにあたり、どこを想定するかを考えるためには、サンライズ瀬戸・出雲が今だ人気列車として運行を続けている背景にも迫る必要があります。

 

新幹線速過ぎ問題

先ほど紹介した寝台特急の路線網ですが、そのほとんどは新幹線との並行区間となります。

これは、新幹線と寝台特急がともに都市間長距離交通を担っていたことを考えるとおかしいことではありません。

 

しかし、東京九州間の寝台特急は、山陽新幹線博多開業と同時に廃止に追い込まれてはいません。

この間の寝台特急が廃止になっていく一つの契機は、300系のぞみが登場し、新幹線の高速化が顕著に進んでからのことになります。

 

たとえば、寝台特急あさかぜは、全盛期東京を18時台に出発し、博多には翌朝10時台に到着していました。

一方新幹線は、100系使用時で始発では東京6時発ひかりに乗っても、博多到着が12時前後、最終列車も逆算すると東京を17時前後には出発していたはずです。

当時であれば、寝台特急の方が新幹線の終電より遅く出て、始発より早く着けることがはっきりしていました。

 

しかし、300系投入・のぞみ誕生以降、新幹線の車両は500系から700系系列へと進化し、所要時間が5時間を切るようになりました。

現在、東京を出る一番列車ののぞみ1号は東京6時00分発→博多10時52分着。最終のぞみ59号は東京18時51分発→博多23時51分着となり、寝台特急の発着時刻といわば”逆転“してしまいました。

 

上野口東北方面の寝台特急は顕著で、新幹線延伸とほとんど時を違えずして臨時列車化からの廃止、もしくは即廃止となりました。

これは、並行在来線を第3セクター化することで生じる運賃計算等の影響もありますが、新幹線の速達性が寝台特急を凌駕してしまったことが大きな要因であることは否めません。

存続が熱望されていた北斗星カシオペアトワイライトエクスプレスに至っては、北海道新幹線開業と同時に変わった青函トンネルの使用法がネックになった部分もあり、人気と実力だけでは太刀打ちできない新幹線の”強さ”も感じました。

 

逆に言えば、今後夜行列車を復活させるに当たっては、新幹線と比較した際に、発着時刻における優位性が必要となります。

 

サンライズ瀬戸・出雲は、岡山での乗り換えが必要な新幹線より、終電より遅く出て始発より早く着く状況なので、その利便性を含めて支持されていることもあるかと思われます。

 

価格帯をどう設定するか

新幹線との発着時刻での優位性を担保できた場合に、つぎに考えなければならないのは価格帯になります。

ビジネスホテル安過ぎ問題

寝台特急の料金形態は、乗車区間の運賃+乗車区間の特急料金+寝台料金となります。

 

私はこの料金形態こそが、寝台特急衰退の一因と考えています。

 

通常の特急列車価格に単純に寝台料金を上乗せしたのでは、割高感が否めません。

 

東○インや○パホテルのようなチェーンをはじめ、そこそこの設備を有していながらお手頃なホテルが、駅からのアクセスも抜群な立地で立ち始めると、同じ値段を払うならホテルにする(終電前乗り+宿泊、前泊+始発)という利用者の動向はむしろ自然です。

 

以前の寝台特急の主力(今は定期列車に設定がない)開放B寝台の方が、ビジネスホテルのシングルルームより高いのでは、経済性はもちろん、居住性、安全性でも太刀打ちできません。さらに割高になる個室寝台ではなおさらです。

 

つまり、料金設定に当たっては、運賃は変えられない分、これまでの特急料金+寝台料金を改め、ビジネスホテルの価格を参考にした寝台列車料金を設定する必要があると考えます。

 

価格で対抗できれば、乗車前後にチェックイン/チェックアウトする手間と、乗って寝れば着くという寝台列車の利点が競合ポイントになる可能性があります。

 

価格では、夜行高速バスとの比較もよくされますが、ビジネスホテルに対抗できる価格を提供できれば、定時性と完全フルフラットで休めることが十分に優位性になると考えています。

 

サンライズ瀬戸・出雲は、価格としてはビジネスホテルに対抗できる価格設定ではありません。

その分を時刻設定でカバーしている側面もあるのでしょう。

 

以上2点を基礎として、運行形態と料金設定を考えていきます。

 

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余談

 

ちなみに、航空便との比較はどうでしょう?

 

速さでは全く歯が立たない航空便ですが、福岡空港を除くと、空港が市街中心部と離れているため、鉄道の優位性が担保できている側面があります(逆に言えば、他の都市から福岡市街への移動は航空便が圧倒的優位です)。

あと、駅に着いてから列車に乗車するまでと、空港についてから旅客機に搭乗するまででは手間と時間が違います。

価格は航空会社や購入方法によって大きく異なるため比較は難しいところですが、航空各社のチケット販売については参考にできることがあるかもしれません。